取締役の責任

こんばんは。といってもまだ明るいですが。
かなり暖かくなってきました。


最近,取締役の会社に対する責任について勉強しています。


そのテーマに関連するのですが,
今日の新聞で,光ケーブル等をめぐるカルテルを結んだという
独占禁止法違反に基づき,約88億円の課徴金納付を命じられた
住友電気工業の当時の役員に対して提起されていた株主代表訴訟につき,
解決金5億2000万円を役員らが同社に対して支払うという条件で
和解が成立したと報道されていました。


通常,取締役の行為に関しては,
経営を委縮させないために「経営判断の原則」という
かなり広い裁量を認める原則が適用されるのですが,
取締役が会社のためをいくら思って行ったとはいえ,
法令違反の行為をなした場合には,
広い裁量を認める同原則の適用はないとされています。
今回の独禁法違反も紛れもなく法令違反ですから,
当時の役員はそれによって会社に生じた損害額を支払うよう
命じられる可能性が高く,
そのためにこのような高額の解決金支払いに同意せざるを得なかった
ということなのだと思います。


取締役がリスクを取った経営判断ができるよう
経営判断の原則の適用は維持されていく必要があります。
他方で,法令違反を犯すと,ほぼ責任を免れませんので,
コンプライアンス法令遵守)の姿勢も必要です。