非嫡出子の相続分の規定違憲判決

こんばんは。


めっきり涼しくなりました。
日本列島を雨,風が席巻しておりますが,
竜巻になるとなす術ないですね。
被害に遭われた方には心からお見舞い申し上げます。


さて,本日,最高裁が非嫡出子の相続分を
嫡出子の2分の1とする民法の規定に関して,
遅くとも平成13年7月には違憲無効であったという決定をしました。


最高裁のホームページで決定書を読むことができました。


一読した上での感想ですが,
結局,欧米を中心とする諸外国において,
非嫡出子の相続分を嫡出子のそれよりも少なくする立法例がなくなっている
という点にしか実質的な根拠はないのではないかと思います。
「外国がこうだから」というのは根拠としては弱いと言わざるを得ません。


「婚姻,家族の在り方に対する国民の意識の多様化が
大きく進んでいること」も一応根拠として挙げられていますが,
全く抽象的で,内容はほとんどありません。
他方で,「法律婚を尊重する意識は(我が国において)広く浸透していると
みられる」とも述べていながら,「意識の多様化」などという
何とでも使える「マジカルワード」で「法律婚尊重」を葬り去るのは
安易に過ぎると思います。
何より,「国民の意識の多様化」などと言いながら,
全国民の代表たる国会で,問題とされながら法改正がされていない事実は,
逆に国民の意識がやはり「法律婚尊重」を劣位に置くほどは,
「多様化」していないことの何よりの表れだと思うのですが,いかがでしょうか。


本件のような価値観の衝突が問題になるような事件で,
違憲」の結論が最高裁の裁判官15人の全員一致であった
ということにも大変驚きました。
「遅くとも違憲無効となった」のが「平成13年7月」というのも,
単に今回の裁判で問題となった相続が生じた(被相続人が亡くなった)のが
平成13年7月だったというだけです。


今回の最高裁の判断には問題があると思います。