敷引特約

こんばんは。


今日は風が強かったです。
春一番」だったそうですが、
春一番」と聞いて猪木の真似をする人を
思い浮かべるのは私だけでしょうか。


さて、今日は訴状や通知書の起案、
昼にはとある報酬請求訴訟と過払金請求訴訟の口頭弁論に出廷、
その後2組お客さんに来ていただいたほか、
知財ネットの本に載せる原稿の校正などして1日終わりました。


昼の口頭弁論の際、敷引金の返還請求訴訟を起こされてしまった
私の顧問会社の役員の方の同訴訟の口頭弁論が
たまたま別の法廷で開催されていましたので、傍聴しました。


敷引特約は無効、という固定観念が流布してしまっている昨今ですが、
それは消費者契約法が適用される場合に関する裁判例に限られているのであって、
消費者契約法が適用されない、事業者でない個人対個人、又は、法人対法人の
賃貸借契約にあっては敷引特約を無効とした裁判例は私の知る限り
(あくまで「知る限り」なので、あったらすみません。
ただ、私は不動産業者の顧問を多数している関係で、
弁護士の中でもこの問題については結構勉強している方だと
自負しています。)、ありません。


そして、消費者契約法が適用される賃貸借契約であっても、
自動的に無効とされるわけではなく、
消費者契約法は、「信義則に反する場合に限り」無効としていることに
あまり意が払われていないのではないかと思います。


事実、横浜地裁では、消費者契約法の適用がある賃貸借契約の
敷引特約であっても「信義則に反しないから有効」という判決が
昨年言い渡されています。


消費者契約法の適用がないのであれば、
敷引特約が無効になるのは、それが公序良俗に反する場合に限られるはずです。
公序良俗に反するとしてよく挙がる例は、「殺人契約」です。
さて、世の中の敷引契約が公序良俗に反する場合がいかほどあるでしょうか?
実際にはかなりの暴利の場合しか公序良俗に反して無効とはならないはずです。


今回私が傍聴した訴訟で問題となっている
敷引特約についても消費者契約法の適用はありませんので、
相談を受けた私は十分に勝機があると考えています。


しかし、裁判官や元賃借人の側の弁護士には
何でもかんでも「敷引=無効」という考えがステレオタイプに存在してしまっています。
私は単なる不勉強だと思うのですが。
私が途中で傍聴に入った時には、私の顧問会社の役員の方は
裁判官から強硬に和解を勧められた結果、
私からすると、「そこまで譲らんでも」と言いたくなるような
条件を提示しておられました。
それに対し、相手方の代理人は、
「うーん、到底依頼者本人が納得するとは
思えないけど、一応、検討します。」との上から対応。


契約書や重要事項説明書にこれでもか、と
敷引特約が明記されており、いずれにも元賃借人の方が
実印をついてサインされているにもかかわらず、
次回期日には「敷引特約をしたことはない。」という
主張をされるそうです。。
これが通るのであれば、契約書に実印ついてサインをしたとしても、
自分に都合の悪い条項は、後で「そのような合意はしていません。」と
否定することが許されることになってきわめて由々しき事態を
招くと思うのですが、どんなもんでしょう。


微力ながら力をお貸ししますので、
私の顧問会社の役員の方には
存分に戦っていただきたいと思っています。