無罪事件

ご無沙汰の更新でございます。


さて、22日に光市の例の事件の判決が出て、
それに隠れてしまった感がありますが、
実は同じ日に福岡高裁にて1件の無罪判決が出ました。


いわゆる中洲スナックママの連続保険金殺人事件の
共犯者とされた男性に対し、福岡地裁の1審判決が
殺人のほう助罪(助けた罪)で有罪としていたのを
ひっくり返して無罪判決を行いました。


ご存知のとおり、日本の裁判の有罪率は優に9割以上でして、
裁判所が無罪判決を行うというのは極めて例外的な事例です。


ただ、この事件は、そもそも検察官が殺人罪の共同正犯で
男性を起訴していたにもかかわらず、
1審の裁判所が上記のとおり殺人罪のほう助罪で有罪とする
という、いかにも帳尻合わせのような判決をしていたので、
控訴審がどのような判断を下すかについて注目しておりました。
福岡高裁は毅然とした判断を下されたと思います。
担当の弁護人の方に伺いますと、
高裁では1回しか弁論が開かれず、高裁の裁判官は
1審の記録のみを見て、無罪判決を行われたということです。


このように裁判というのは見る資料が全く一緒であっても
担当する裁判官によって正反対の評価がされることが
あり得るという大変不安定な制度である
ことが示されていると思います。
裁判員制度が始まると差はかなり広がることが予想されます。
一般国民の方々に裁判に参加していただくという裁判員制度の理念には
賛成しますが、やはり問題はあると思います。
特に裁判員制度のパンフレットに「法律知識については全く素人でも
問題ありません!」と書いてあるのは怖くありませんか?