建設協力金について

昨日は久しぶりに闇金のお兄さんと言い合いになってしまい、
疲れました。
言い合いになってしまうこと自体、自分の未熟さを示すものです。
反省しております。


さて、久しぶりに法律的なことを書きます。


いわゆる建設協力金に関する権利義務が賃貸借契約の
貸主の地位の譲渡と一緒に譲渡されるか否かです。


賃貸借契約の目的物である不動産の所有権が移転した場合、
賃貸借契約の貸主たる地位も自動的に目的物の譲受人に承継される
というのが最高裁判例なのですが、
その際に敷金も当然に新所有者に引き継がれ、
賃貸借契約が終了して目的物を引き渡した場合、
賃借人は新所有者に対して敷金返還請求を行うことになります
(賃貸建物が譲渡される場合には、譲渡人譲受人間で敷金分について
精算しておく必要があることになります。)。


では、建設協力金に関する権利義務はどうなるのでしょうか?
敷金と同様に新所有者に引き継がれることになるのでしょうか?
問題になりやすいのが賃貸人が破産したような場合です。

建設協力金に関する権利義務が承継されないとすると、
賃貸人が破産し、
破産管財人が賃貸借の目的となっている不動産を第三者に譲渡した
場合、賃貸借契約はその第三者との間で継続することになり、
敷金返還もその第三者に対して請求できるのですが、
建設協力金の返還請求することはできず、
破産管財人から他の一般の破産債権と同様の率で配当を
受けることになってしまいます。


このことについて先日質問を受けましたので調べましたところ、
最高裁の昭和51年3月4日の判決(判例時報812号57頁)が、
契約締結時に授受される保証金が建設協力金の性質を有する場合は、
新所有者に承継されないとして、敷金とは異なる取り扱いをする旨を
判示しています。


不動産の賃貸借を行う場合、敷金はほとんどのケースで授受される
ものであり、それこそ賃貸借契約とは別個の契約であっても、
それに付随させるという特別な取扱いを行ってしかるべきといえるのに
対し、建設協力金はそうではないので原則どおり付随しないと
考えるということだと思います。


そうはいっても建設協力金も敷金と同様に建物賃貸借がなければ
生じないものですし、旧所有者と新所有者との間で売買代金を
授受する際に調整することができるのですから、
敷金と同様に新所有者に当然引き継がれるとしても
問題ないのではないかと考えます。
賃貸借契約において、建設協力金に関する権利義務は賃貸人たる地位の
移転に当然付随する旨の特約を入れた場合、それは有効と認めてよいの
ではないでしょうか。