司法試験合格者増員問題


おはようございます。


福岡は今日も晴れです。


さて,日弁連が司法試験の合格者増を抑えるよう
政府,与野党に働きかけていることについて
今朝の日経の「大機小機」がかみついておられます。


結局,理想と現実のギャップということと思います。


このコラムの筆者は,
「司法試験に合格しただけでは役に立つ仕事ができるわけではない。
他の職業では,長年にわたる実務経験を積んで一人前になれる。」から


司法試験合格後に安定した収入が得られなくても構わない,と仰るのですが,


長年にわたる実務経験を積むためには,
合格後にある程度は安定した収入を得る必要があると思います。


司法試験の合格者数が増えると質が落ちるという指摘に対して,
「試験合格時のレベルが低くても,顧客から見た弁護士としての
質が低いとは限らない」とも仰るのですが,
それは結局,試験合格後に実務経験を積んで質が上がる,ということが
前提になっていると思われるのですが,それにはやはり上記のとおり
ある程度の安定収入が必要でしょう。


「資格を持つ者の数を制限すれば,逆に弁護士の質が下がる。
司法試験は『資格試験』であり,『競争試験』ではない(から,
そもそも定員を設けるべきではないのだ。)。」とも仰るのですが,


逆に純粋な資格試験とすると,年間3000人も合格者が出ない可能性が
あるということも考えていただきたいと思います。


定員が増えれば「弁護士過疎の問題も解消に向かう。」
という意見には賛成しますが,
地方でも若手が一人でいきなり開業というのは
やはり経済的に難しいのではないかなと思います。


弁護士としては,
就職にあぶれる人がいるにもかかわらず,
脇目も振らずに「増やせ。増やせ。」というのは疑問です。
顧客の視点も取り入れつつ,ゆるやかな増員というのが
現実的ではないでしょうか。


弁護士の増員問題も「競争,競争」,「改革,カイカク」原理主義
によるひずみの1つではないかと個人的に考えています。